死神に誘われて
「……ありがと。これ、僕のお気に入りなんだ」

そう言って、僕は微笑んだ。絵芽は、満足したのかペンダントから手を離す。

次の瞬間、絵芽の後ろに黒い炎が見えた。僕は咄嗟に絵芽の腕を引いて、背中に隠す。

「え……悪霊?気が付かなかった……」

僕の後ろから絵芽の声が聞こえてきた。

「え?」

「ご、ごめん……私、小さい時から幽霊が見えてて……というか、極夜くんも……!?」

「話は後!」

そう言って、僕は呪術で作り出した刀を構える。そして、片方の手で絵芽の腕を引いて走り始めた。

「場所を変える!ここじゃ戦いにくい!」

学校中を走り回って、何とか屋上まで辿り着く。気が付いたら、僕らの周りを悪霊が取り囲んでいた。

「……っ!」

何だ……この数は……。僕一人で、倒し切れる、のか……?無理だ……。でも、悪霊から魂を守らなきゃならない。だから……僕は、無理だと諦めてても戦う。

「……絵芽、これ預かってて」

僕はペンダントを外して絵芽に渡すと、片手を出して、黒い光のレーザーを悪霊に向かって大量に放った。放ったレーザーのいくつかは悪霊に当たって、悪霊はクロアゲハとなって空へと飛んでいく。

だけど、すべてを倒し切ったわけじゃない。足に力を込めて……加速。刀を降って、次々と悪霊を斬っていった。
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