何様のつもり?
蓮翔side


「何でいつもこうなっちまうのかなぁ」

秋帆と別れた次の日、俺は社長室で独り言を言った。

確かにお互い忙しい。だから俺は早く秋帆と一緒の時間を過ごしたくて、必死に仕事をこなしていた。アイツの仕事も忙しいのは分かってる。だから俺は電話も会うのも我慢した。

コンコン。

「社長、失礼します」

「あぁ、今日の日程ですが、午前中からの会議が終われば今日の予定は特にありません」

「あぁ、そうか」

「社長、どうかされましたか?」

「なぁ、颯哉。女と付き合うのって難しいんだな……」

「蓮翔、どうした?昨日までアメリカだったから時差ボケか?」

「夢ならいいが……秋帆と別れた」

「はぁ?何でだよ。ずっと好きだった女性なのに、何で別れるんだよ」

「俺は、アイツの仕事が忙しいから連絡も会うのも我慢してた。秋帆も俺が忙しいから連絡も会うのも我慢してたって。お互い我慢してたってことだな。だからこれ以上俺の前で嫌な女になりたくないってさ」

「で、蓮翔はその言葉に納得したのか?」

「うん。俺といることでアイツを苦しめたくないしな……」

「お前、バカなのか?」

「きっと秋帆ちゃんは、もっと本音で付き合いたいって思ってたんだよ。お前、高校の時は違ってたんだろ?いつも何か言いつけて、そばにいさせたんだろ?何で今回は遠慮してんだよ。好きなら、そばにいろよ。秋帆ちゃんが忙しいなら、少しでもお前が会いに行けよ」

「迷惑じゃないのか?そんなことして?」

「はぁ、これだから付き合ったことのないやつは……」

「そのこともちゃんと話せ。秋帆ちゃん以外好きな人はいないって。きっとたくさん経験してきたって思ってるぞ?モテモテの蓮翔さんだからっ」

颯哉はそう言って俺をからかった。

「俺は秋帆だけでいいんだよ」

「なら、きちんと気持ちを伝えろよ。そうじゃないと、秋帆ちゃん美人だから、他の人に取られちゃうぞ?そうじゃなくてもいろんなモデルさんや芸能関係の人が行き交うし、いい男がたくさんいる中で仕事しているんだぞ……」

「お前、そんなに俺を焦らせて楽しいのかよ」

「まぁな……。お前はいつも余裕な奴だからな。たまにはいいかもな」

「ふざけるなっ」

「ははっ。そんなに怒るなよ。でも本当に好きならちゃんと捕まえておけよ」

「あぁ、わかってるよ」

俺は、これからどうやって秋帆と向き合っていくか考えた。
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