あの日の君になりたかった。
プロローグ

 パラパラと本がめくれる微かな音で目が覚めた。


 開けていた窓からは風が入り、ふわりと白いレースのカーテンを揺らしている。


 何度も読み返して日焼けした手元の本に視線を移すと、ぽたりと水滴が落ちる。


 涙だった。


 また、泣いていたみたいだ。

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