冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「ウォーリック国王は、国王の座を息子であるアイザックへと譲り、今後一切国政に関与することはなくなるだろう」


 つまり、父は半永久的にラフバラに幽閉されるということだ。

 それだけのことを、リリーの父であるウォーリック国王はしてきたのだから仕方がない。

 これまで多くの犠牲を払い、民の声を無下にしてきた国王には当然の報いでもあった。


「……もちろんでございます。父の命だけでも生かしてくださるという国王陛下のご慈悲に、心から感謝いたします」


 そう言うとリリーはルシアスに向かって深々と頭を下げた。

 父のことを思うと胸が痛いのも事実だが、これまで父がしてきたことを思えばルシアスがくだした決断は寛容なものと言わざるを得なかった。


「何はともあれ、これで、ふたりの婚姻話も進められるな」

「え……?」


 けれど、続けられたルシアスの言葉に、リリーは驚いて目を見張った。


(ど、どうして国王陛下が、私がリアムの妻になるかもしれないということを知っているの?)


 リリーのその疑問は顔に出ていたのだろう。

 ルシアスは、フフッと喉を鳴らして笑うと、リリーの疑問に答えてくれた。


「リアムは今回の任を無事に終え、ウォーリックとの和平が成立したら、正式にリリー王女との結婚を認めてほしいと私に切願していたのだよ」


 思いもよらないルシアスからの話を聞いたリリーは、慌てて隣に立つリアムを見上げた。

 リアムは微動だにせず前を向いているだけだ。

 しかし、ほんのりと耳の先は赤く色づき、心なしか居心地が悪そうにも見えてしまう。

 リアムは今、肉親でもある国王陛下に秘密をバラされ、間違いなく照れている。

 それに気づいてしまったリリーの頬にも、隠しようのない淡い赤がさしてしまった。


(まさかリアムが、そんなことまで国王陛下に頼んでいたなんて……)


 ふたりを見ていたルシアスは、面白そうにまた喉を鳴らして笑うと、改めてリアムへと目を向けた。


「まさか、リアムのそんな顔が見られるとはな。これまで浮いた話のひとつもなく、どんなに良縁が舞い込んでも蹴り続けていた理由は、リリー王女だったのか」


 そう言うとルシアスは、今度はリリーへと目を向けた。

 
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