140字物語
大きな掌が頬に振り下ろされる


「ペットは言うこと聞かないと、ダメだろ?」


ご主人は頭を掴んで、狂気じみた笑いを向けてくる


固い動きで頷くと、首輪についた小さな鈴がなる


「次はこれくらいじゃ済まないからな」


手が震える


「わかったら返事」

「……あ、い」


音が音にならなかった





【続き、のようなもの】



ご主人が食べているときはお腹が鳴っても我慢して


出される食事はご主人が残したもののみ


床が汚れるからと食べ物を直接床に置くようなことはしないけど、箸は用意してもらえない


手で食べるか、お皿に顔を持っていく


「犬みたい」


そんな私を、ご主人は嘲笑って見ている



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