ベジタブルハンバーガー

「あー、ついに最終巻か…」



小学生からずっと読んでたコミックの
最終巻を並べながら寂寥を感じた



「上野くんも読んでるの?」



背後から話し掛けられた

振り向いたら篠田(しのだ)さんがいた



「はい」



「私も読んでるんだ」



「へー、篠田さんも?
意外です」



「逆にどんなのが私っぽいの?」


彼女は笑いながら言った



「んー、恋愛とか?ですか?
女の人って、そんなイメージ…」



「上野くんぐらいの時は読んでた
少女漫画
でももぉ飽きたっていうか…
こんなキラキラした世界ないよね…って

最近は少年誌とか青年誌も読むよ
男の人の漫画の方が
たくさんジャンルがあっておもしろいよね!
上野くんが読むような
ちょっとエッチなのも読むよ」



「え!?」



「この前、最新刊買ってたよね!
私もアレ読んでるよ
コミックじゃなくて月刊誌の方でだけどね」



「いや、アレは…
友達に…頼まれて…」



「そっか…
じゃあ、読んでみてよ!おもしろいよ!」



ホントは読んでた


たぶんオレ
耳まで真っ赤だと思う



「あんなに綺麗でスタイルよくて
なんでも男の子の言うこと聞いちゃうような子
いないよ~っていつも思いながら読んでる」



「え!いないんですか?」



「上野くんもいると思ってたでしょ
男の子の理想だよね!
少女漫画にイケメンが出てくるのと同じだよ」



「なんだ…そーなんだ…」



て、バレてるじゃん…



「ちなみに
少女漫画に出てくる男の子は
エッチな漫画なんて読まないよ!」


そう言って篠田さんは仕事に戻った




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