かまぼこ
夏と陽炎
涼子が、しんだ。

汗だくになって家の引き戸を勢いよく開けて、開口一番、親父はそう言った。

お袋は朝ご飯の青ナスみたいに真っ青な顔をして、口元に手を当てて、震えていた。

このまえ駅前の古玩具屋で買ったゲームが僕の手から滑り落ちて、緑色のカーペットで音を立てる。


陽炎が。親父の後ろでゆらゆらと揺れて、不気味な蒸し暑さが僕を包んでいた。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop