*SS集*お稲荷様のお呼びです!



事が全部終わった頃には空が真っ赤に燃え、夜に侵食されてつついた。


夕ご飯も一緒にと言われたけれど、私にはまだその段階は早くて丁寧にお断りする。


玄関の外で見送ってくれる東さんに、感謝の言葉と共に頭を下げた。



「協力してくれてありがとうございました」


「ううん!だって友達でしょ。協力するのは当たり前だよ」



その言葉に私は頭を上げて、今度はこちらから笑顔を向けた。



「ありがとう」



心からのお礼を述べると、東さん……千代ちゃんも笑い返してくれた。


お邪魔しましたと声をかけて、私は不慣れな街の道を歩いて帰路へと向かう。


たった一日だけ、その一日だけだけれども。


私は日常から飛び出して、非日常へと足を踏み入れて感じたことのない楽しさを満喫した。


日々はもちろん何もない平凡な毎日で、私みたいな人間が主人公になって毎日を満喫するなんてできるわけないけれど。


それでも……千代ちゃんは言ってくれたのだ友達だと、それだけで、私は輝けるそんな気がした。


夜に飲み込まれていく空を見上げるとそこには、一番星がキラキラと瞬いていた。




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