あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「な、何なんだ!!」

男性たちが戸惑っている間に、未来と瑠花のもとへ英美里と帆高が走ってくる。

「未来ちゃん、大丈夫?」

帆高が未来の縄を解きながら訊ねる。未来は「大丈夫!来てくれてありがとう」と笑った。帆高の頬が赤く染まる。

「瑠花ちゃん、怪我してる!」

英美里が叩かれて腫れてしまった瑠花の頬を見て驚き、回復の魔法を使う。瑠花は「ありがとう」と微笑み、魔法の杖を振った。

「眠って」

瑠花がそう言うと、杖から泡のようなものがたくさんあふれていく。そして男性たちは次々と床に倒れていった。みんな眠っている。

「これでしばらく起きない。助けてくれて本当にありがとう」

瑠花がそう言い、無事でよかったと帆高たちは笑う。瀧が言った。

「榎本が召喚する妖精が全て教えてくれた。助かったじゃけん」

「バレずに召喚できてよかった〜……」

未来はそう言い、大きく息を吐く。攫われる直前に召喚できていなければ、未来と瑠花は助けられることはなかっただろう。
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