あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
エピローグ もう一度、奇跡を
出会いから六年後、僕ーーー村瀬帆高は飛行機を降りてキャリーケースを押して歩いていた。北海道にやっと着いた。

「今は空港の中だから大丈夫だけど、外に行ったらこの格好で寒くないか心配けん」

北海道は寒いというイメージしかない。僕は緑のTシャツの上にオレンジの柄付きのシャツを羽織っていて、黒のパンツという格好を見つめた。夏とはいえ寒くないかな?

「帆高くん、だよね?」

後ろから話しかけられ、僕は後ろをゆっくり振り返る。ブラウンに染められた髪をサイド三つ編みにし、胸元でリボンを結んだキャメル色のガーリーなワンピースを着た女の子が立っている。もしかしてーーー。

「英美里ちゃん?」

「Your answer is correct!(正解!)」

そう言って笑う英美里ちゃんは小説の中で出会った頃よりずっと明るくなっている。今は語学大学で色んな国の人と関わって英語を勉強しているんだと聞いた。将来は通訳の仕事をしたいみたい。
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