あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
未来が訊ねると、シトロンは「失礼しました。説明しますね」と言い紙に書かれたことを教える。

「簡単に言いますと、未来さんにはわざわざ小説の中に入って物語を書いてもらっています。そんなあなたに報酬として、小説が書き終わった暁には願いを一つ叶えるというものです。未来さんだけに説明をし忘れていて……」

「他のみんなはもう願い事を言ったの?」

願いを何でも叶えられるということに、未来の目は輝く。シトロンは苦笑しながら言った。

「願いを何にするか迷う方もいらっしゃれば、もうすでに願いを頼んだ人もいます。最後の時までゆっくり考えてください」

そう言い終えるとシトロンの姿は消える。未来は願い事は何にしようかと考えながら、帆高たちのもとへ向かった。

「未来ちゃん、久しぶり!」

未来の目の前に瑠花と英美里が現れ、笑ってくれる。未来も「久しぶり!」と答え、元気に笑った。

「よし、旅を進めるぞ!」と大地。
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