あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

だからこの夢は叶わない、そう言いマリーナは涙を拭う。その表情に未来の胸は締め付けられた。そして、何気なく横を見て大地の様子がおかしいことに気付く。

大地は、遠い場所を見つめて唇を震わせていた。



マリーナの屋敷を出た時には、もうすでに夕日が沈もうとしていた。マリーナは泊まって行ってもいいと言っていたが、未来たちは悪いからと断り、食堂のある宿に泊まることになったのだ。

「このカルパッチョ、うまいけん！一口あげる」

夕食を食堂で食べていると、未来に帆高がニコニコ笑ってそう言った。未来は「えっ！？本当？」と言いながら鯛のカルパッチョを口に入れる。

「本当だ、おいしい！じゃああたしのシーフードドリアも一口あげるね」

未来がそう言うと、瑠花と英美里が「未来ちゃんそれって……」と頬を赤く染めて笑う。未来が首を傾げていると、「そのうちわかるよ」と英美里に言われた。

「なあ、あいつ何であんな顔じゃけ？」