モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

その日は 一日中 部屋で イチャイチャして。

「このままで いいの?」

私は 心配して 誠に聞いた。

「いいの。15年分の思いは まだ足りない。」


2人とも いい大人なのに…

でも 恋する気持ちに 年なんて 関係ない。


私達は 触れ合っているだけで 幸せだったから。


「明日 仕事 行きたくない~」

夜が 近付いて 誠が 帰ることが 怖くて。

「ずっと こうしていたいの?」

「うん…誠は?」

「俺も。当たり前でしょ。」


私は 誠の胸に 強く 顔を付ける。


「今の渚 15年前より ずっと可愛いよ。」

私を ギュッと抱き締めて 誠は言う。

「ホントに?私 ずっと 怖かったんだ…」

「何が?」

「私 このままで いいのかなって。どんどん 自分に 自信がなくなって。昔 いい思い し過ぎた罰かなとか…」

「へぇ。そんなこと 考えていたの?だからだ…」

「んっ?」

「クラス会で会った時。渚 昔よりも ずっと綺麗になったのに。なんか 寂しそうで。どうしたのかなって 思ったんだ。」

「そうなの?だから誠 声かけてくれたの?」

「うん。帰り 送った時も 元気なかったし。」

「私 誠が カッコ良くなって 驚いたんだよ?」

「ハハハ。俺 20才のクラス会の後は 渚に 連絡できなかったんだ。あの時 渚 昔と同じで 輝いてて。俺なんか 出る幕ないような 気がして。」

「そんなこと なかったのに。私 東京に来てから ずっと 迷走してた…」

「迷走?」

「うん。田舎で 少しくらい 人気があっても 東京では 全然 通用しないって。だんだん 自分に 自信がなくなっていって。ウジウジしてた。」

「渚は そのままで いいのに。渚の 優しさとか 思いやりは 田舎だろうと 東京だろうと 通用するから。昔 渚が 人気があったのは 可愛いだけじゃないよ?渚の 優しさを みんなが 認めていたからだよ。」

「誠…」

私は 誠の胸に 抱き付いた。


「すごく嬉しい。誠に そんな風に 言ってもらえて。私 明日から また頑張れる…」

「あんまり 頑張るなよ。ライバルが増えて 困るから。」


誠は そっと私の顔を上げて 唇を落とした。








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