破 恋
そんな日々をひと月こなした時
千里から話があると言われた。
専務も一緒に・・・と。
私と千里と専務室へ。
「お忙しい所、申し訳ありません。」
と、専務に頭を下げる千里。
「体の方は、大丈夫なのか?」
と、言う専務に千里は、
「はい。体は問題ないです。
ですが····頭の···方は·····」
と、言い淀み。
「専務。
ご無理は承知しておりますが
私をどこか、私を知らない所に
異動させて頂けないでしょうか?」
「誰も知らない所か?」
「はい。どこでも構いません。」
「うーん、そうか、わかった。
少し時間を貰えるか?
社長や副社長にもあたるから。」
「勝手ばかり言ってすみません。
宜しくお願い致します。」
と、頭を下げる千里に
「一つだけ。
本当にどこでも、良いんだな?
泉さんとも会えなくなる
その覚悟もあるんだな?」
と、専務が訊ねると
千里は、私を一度見て
「はい。」
と、はっきりと答えた。
専務は、
「わかった。連絡する。」
と、言ったので
千里は、私の腕を取り
専務室をでて行った。
「莉子、勝手に決めてごめん。
莉子には、沢山お世話になったのに。」
と、言う千里に
莉子は、首をふりながら
「千里が考えたように
したら良いよ。」
と、言った。
野上課長は、千里を主任にと
望んで頂けに落胆していたが
千里の為と涙をのんで
手離した。
千里の営業力を
あちこちの支店・支社から
依頼があったが
専務と千里が話し合い
今から力を入れて取り組む事になる
マレーシアへと決まった。
社内で公募をだして
欲しいと言ってきた支店や支社で
活躍させては?と社長の一声で。
決まった。
その報告を
私は、千里から受けた。
私は、
「そう。決めたんだね。」
「うん。頑張ってみるよ。」
「頑張ってね、千里なら大丈夫。」
と、言うと
千里は、私を抱き締めて
「今まで、本当にありがとう。
沢山、たくさん
辛い思いをさせてしまって
ごめん、ごめんね。
もし良かったらでいい
たまにで良いから
母さんの顔を見に行ってくれないか?」
と、言われたから
「うん、わかった。
だけど、千里も連絡してあげてね。」
と、言うと、千里は頷いた。
それから、ほどなくして
千里はマレーシアの
クアラ・ルンプル支店へと
転勤した。
千里のマンション解約して
荷物は実家へと運ばれた。
私の家にあった千里の荷物も
もちろん千里の実家へと行き
私への指輪は、私とみかで
買い取り業者に買い取って貰い
千里のお母さんにお渡しした。
お母さんは、そのお金を
私へと言ってくれたが
「みかと二人で、初めて体験させて
もらった授業料です。」
(買い取り業者なんて···
不思議でおもしろかった)
とお母さんに
話すとお母さんは、笑いながら
「では、預かりますね。」
と、言ってくれた。
【買い取り業者とか
よく知らないので流れは解りませんが
勝手な妄想です。すみません。】
私は、一人で·····
たまに、みかと
千里のお母さんの元を訪ねた。
千里の話しはしない。
私が遠慮したのだ。
千里は、私の彼氏でも恋人でもない
まして家族でもない。
だから、聞く必要はない。
家族である、お母さんだけが
知り得れば良いと思っていた。
それに、
お母さん、もしくは、千里から
もう訪ねる必要は、ない····と、
なれば私は直ぐに止めるつもりだが、
今の所はなく
私は、ひと月に一、二度は
千里の実家に行き
お母さんと話したり
買い物に行ったり
二人で温泉に行ったり
お父さんのお墓参りをしたり
している。
私の両親が近くにいないこともあり
私自身も楽しんでいた
だが、私は恋人ができても
続けるだろう·····が。
それは·····あの時····
病院でのお母さんを見たから·····
かもしれない。