破 恋

あの空港で別れてから
千里は半年後に日本へ戻ってきた。

私は、空港に千里を向かいき行き
千里に
「返事、聞いてくれますか?」
と、言うと
千里は、私の目を見て頷いた。
「西原 千里さん、
いつまでも貴方の側に
     いさせて下さい。」
と、言うと
千里は、みるみる破顔していき
瞳から涙が溢れた。

気持ちは気づいていたはずなのに
千里を心配させていたんだと
思うとたまらなくて
千里に抱きついた。

千里は、優しく私を抱き締め返して
くれて
「莉子、りこっ、莉子っ·······」
何度も私の名前を呼ぶ
「いるよ、ここに。
     千里の中に。」
と、伝えると
「好きだ、大好き、愛してる。」
と、言いながら
私の髪に頭をつける
しばらく抱きあって
空港を後にした。

当分、空港には、行けないかな?
と、ちょっと大胆過ぎて
恥ずかしかった。

社内には、いるが
お互いに部署が違うし
お互いに責任あるポジションにいる。

千里は、営業部の課長となり
野上さんは、営業部の部長となった。
なぜか、有馬さんは、
わが社にいて営業部の係長と
なっていた。
財務省の方が良いのでは?
とも思うが······

だが、営業部は、精鋭が揃って
業績が伸びている。

美月は、子供ができ退社した。
手があいたら、パートでもいいから
雇って下さいと専務にお願いしていた。

みかも美月もいないが
新しい社員も入り
教育も忙しい。

受付に入る社員は、
美人揃いでびっくりする。

選考が顔じゃないかと····

だが、優秀な人が多いから
またまた、びっくりする。

千里は、ソフトなイケメンだから
かなり人気である。
ましてや、独身であるから
尚更·····

だが、私以外には、ニコリともしない。

私に誤解や疑いを持たれる事を
極度に嫌う。

そこまで····とも思うが
「ニコニコしないと仕事が
取れない訳じゃないから
構わん。」
と、これまた、専務の一言。

まあ、私と一緒にいると
甘い千里のギャップに
これが、いいんですよ
と、女性陣は騒いでいる。

帰国して一年を過ぎた時に
千里からプロポーズされた。

それからは、怒涛の如く
千里は、式場を決めて
北海道の私の両親に挨拶に行った。

千里は、父と母に全てを話した。
父は、
「莉子の結婚がみれるだけで
幸せです。どうか娘を宜しく
お願いします。」
と、頭を下げた。

私も母も涙が溢れていた。
藍花ちゃんまで泣くから
悠希が呆れながら、それでも
「姉貴、幸せになれよ。
千里さん、姉を宜しくお願いします。」
と、言うから
またまた、私も母も藍花ちゃんも
泣いてしまった。

いつまでも泣いている三人をよそに
父と千里と悠希は、
三人で飲みはじめて
楽しそうにしていた。

翌日帰り際
「お義父さん、お義母さん
少し遠くて申し訳ありませんが
式の日、お待ちしています。」
と、千里が頭を下げると
「楽しみにしてるよ」
と、父が言った。

離れているから、もう当日にしか
会えない私は、
「お父さん、お母さん。
今までありがとうございました。
親孝行もなにも出来ない
娘でごめんなさい。
今からは、千里と幸せに
なりますから、見ていて下さい。」
と、頭を下げると千里も下げてくれた。
父も母も涙を流し
藍花ちゃんがまた泣くなら
「お前な。」
と、悠希は呆れていた。

「悠希、お父さん、お母さんを
任せてばかりでごめんね。
不甲斐ない姉だと思っている。
だけど、これからも
どうか、父と母の事を
宜しくお願いします。
藍花ちゃんにも沢山感謝しています。
どうぞ、宜しくお願いします。」
と、言うと
悠希は、下を向き顔を反らし
藍花ちゃんは、
「お義姉さん~
と、私に抱きついた。
私は、藍花ちゃんを抱き締めて
実家を後にした。

私の流れる涙を拭きながら
千里も涙を流していた。
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