誘拐は激甘生活の始まりII
北山杏菜(きたやまあんな)が目を開けると、そこには見慣れ始めた天井が広がっていた。そして、誰かに抱き締められている感覚がする。

杏菜が横を見れば、華やかな顔立ちの男性が杏菜を抱き締めながら眠っていた。日本人にはない白い肌が美しい。彼の名前はダミアン・スズキ・トリクシィ。クラリネッタ王国の次期国王だ。

天蓋付きのベッドに寝かされ、ネグリジェを着せられている杏菜はダミアンに誘拐されてこの部屋に閉じ込められている。もう誘拐されてから数日は経っていることに杏菜は驚いていた。

「んっ……。杏菜、おはよぉ」

フニャリと笑いながらダミアンが言う。杏菜は昼間とは違う幼い表情にドキッとしながら「おはようございます、ダミアン様」と挨拶をした。

「今日も可愛い」

ダミアンはそう言った後、杏菜に優しくキスをする。ダミアンが杏菜を誘拐した目的は杏菜を好きになったからだ。杏菜はこの部屋でずっとダミアンに甘やかされている。
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