誘拐は激甘生活の始まりII
この部屋に閉じ込められてから、杏菜は一度も外に出してもらっていない。お風呂やトイレは部屋の中にあり、食事はダミアンが持って来てくれているため、杏菜はダミアン以外の人と会ったことがないのだ。

ダミアンがいなくなったため、杏菜はベッドから立ち上がる。首には相変わらず首輪がついているため、部屋からは出られない。ただダミアンがやって来るのを待つ。

それから数分ほど経った頃、ダミアンが部屋に帰ってきた。その手にはおいしそうな朝ご飯を乗せたトレイがある。

「ごめんね、ちょっと大臣に呼ばれて。ご飯食べようか」

「はい!」

今日の朝ご飯はフレンチトーストだ。甘いものが大好きな杏菜の頬が緩む。

「はい、あ〜ん」

ダミアンが杏菜の口元にフレンチトーストを持っていく。杏菜は恥ずかしいと思いながらも「いただきます」と言って食べ始める。ここに来てからダミアンに食べさせてもらうことが多い。

「口元、ついてる」

「えっ?」
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