好きと掟の間に


「東高の陸上部の人よ。」


その時、

あたしの腰にあった妹の手が、

ピクッと動いたのが分かった。



「東高の陸上部って…

恋愛禁止じゃなかったっけ?」


「知ってるの?!」


「友達にね、

東高の陸上部の人に告った子がいたの。

でも相手の人に、

うちの陸上部は恋愛禁止だから
ごめんけど無理、

って言われちゃったんだって。」


あたしはそれを聞いて、

幾分不安になってしまった。


「そっか…」


あたしはこの先
捨てられはしないだろうか

そんなことばかり考えてしまう。


まだ付き合い始めて1ヶ月半くらい。


この先どんなことが待っていても、

和広君はあたしを好きでいてくれるのかな…



じゃああたしは?


あたしは…
ずっと好きでいられる自信ある?





自転車を必死に漕ぐあたしの脳裏の傍らに、

考えても考えても

解決出来そうに無い何かがあった。



.
< 72 / 96 >

この作品をシェア

pagetop