君は愛しのバニーちゃん
※※※
「お散歩、楽しいね〜。山田さんっ」
公園からの帰り道、俺の隣で天使のような微笑みを向けて山田に話しかける美兎ちゃん。
そんな美兎ちゃんの声に反応した山田は、ポテポテと歩きながらも美兎ちゃんを見上げる。それはもう、嬉しそうにプリプリと尻尾を振りながら。
(そりゃ嬉しいだろうよ! なんたって、美兎ちゃんが名付け親だからなっ!)
何度も何度も、愛おしそうに『山田さん』と呼んでもらえる山田に嫉妬をすると、悔しさから溢れ出そうになった涙を堪えて天を仰ぐ。
(ちくしょ〜! っ……俺だって、美兎ちゃんに名付けてもらいたかったわ! せめて、『瑛斗先生』じゃなくて『瑛斗』って呼ばれたい……っ)
「瑛斗先生。いつもお散歩に付き合ってくれて、ありがとう」
「いいよ、いいよ。どうせ暇だしね。散歩くらい、(山田抜きでも。いや、むしろ抜きで!)いつでも付き合うよ?」
無邪気に微笑む美兎ちゃんの姿を見て、その天使のような愛らしさに瞬時に癒された俺は、鼻の下を伸ばすと顔を綻ばせた。
「……あのさ、美兎ちゃん。『瑛斗先生』って呼び方、ちょっと長いじゃん? だからさ、その……。もうちょっと、略すとか……さ? 違う呼び方にして欲しいなって……」
美兎ちゃんから視線を逸らすと、しどろもどろになりながらも勇気ある提案をしてみる。
決して長ったらしい呼び名とは言えないのだが、これを機に『瑛斗』と呼んでもらえるようになれれば。そんな淡い期待を胸に、ドキドキと鼓動を跳ねさせる。
「……ぁっ。うんち」
(……!!! えっ!? うんちっ!!?)
驚きにグリンッと勢いよく首を動かすと、美兎ちゃんのいる方へと視線を向けてみる。
すると、何やら一点を見つめたまま立ち尽くしている美兎ちゃん。その視線を辿ってみると、後ろ足をプルプルと震えさせて力んでいる山田がいる。
(なんだ、山田の糞か……。ビビった。……俺の名前、『うんち』になったかと思ったわ)
いくら美兎ちゃんから名付けてもえるとはいえ、流石の俺でも『うんち』にはヒヤリとした。
ホッと胸を撫で下ろすと、山田の側に腰を下ろした美兎ちゃんの姿を静観する。
「えっと……。呼び方、だよね? ……うん、わかった。じゃあ、『先生』って呼ぶねっ!」
クルリと後ろを振り返った美兎ちゃんは、俺に向けて無邪気な笑顔を見せると、再びその視線を山田へと向けた。
(エッッ!!? まっ、まさかの、そっち採用!!!?)
「いやっ、あの……。『先生』だと、学校の先生と同じじゃん? だから、名前がいいかな〜? なんて……」
「名前?」
「……う、うん」
思ってもみなかったまさかの【降格宣言】に、山田のうんち処理中の美兎ちゃんの背中に向けて即座に軌道修正を始める。
「お散歩、楽しいね〜。山田さんっ」
公園からの帰り道、俺の隣で天使のような微笑みを向けて山田に話しかける美兎ちゃん。
そんな美兎ちゃんの声に反応した山田は、ポテポテと歩きながらも美兎ちゃんを見上げる。それはもう、嬉しそうにプリプリと尻尾を振りながら。
(そりゃ嬉しいだろうよ! なんたって、美兎ちゃんが名付け親だからなっ!)
何度も何度も、愛おしそうに『山田さん』と呼んでもらえる山田に嫉妬をすると、悔しさから溢れ出そうになった涙を堪えて天を仰ぐ。
(ちくしょ〜! っ……俺だって、美兎ちゃんに名付けてもらいたかったわ! せめて、『瑛斗先生』じゃなくて『瑛斗』って呼ばれたい……っ)
「瑛斗先生。いつもお散歩に付き合ってくれて、ありがとう」
「いいよ、いいよ。どうせ暇だしね。散歩くらい、(山田抜きでも。いや、むしろ抜きで!)いつでも付き合うよ?」
無邪気に微笑む美兎ちゃんの姿を見て、その天使のような愛らしさに瞬時に癒された俺は、鼻の下を伸ばすと顔を綻ばせた。
「……あのさ、美兎ちゃん。『瑛斗先生』って呼び方、ちょっと長いじゃん? だからさ、その……。もうちょっと、略すとか……さ? 違う呼び方にして欲しいなって……」
美兎ちゃんから視線を逸らすと、しどろもどろになりながらも勇気ある提案をしてみる。
決して長ったらしい呼び名とは言えないのだが、これを機に『瑛斗』と呼んでもらえるようになれれば。そんな淡い期待を胸に、ドキドキと鼓動を跳ねさせる。
「……ぁっ。うんち」
(……!!! えっ!? うんちっ!!?)
驚きにグリンッと勢いよく首を動かすと、美兎ちゃんのいる方へと視線を向けてみる。
すると、何やら一点を見つめたまま立ち尽くしている美兎ちゃん。その視線を辿ってみると、後ろ足をプルプルと震えさせて力んでいる山田がいる。
(なんだ、山田の糞か……。ビビった。……俺の名前、『うんち』になったかと思ったわ)
いくら美兎ちゃんから名付けてもえるとはいえ、流石の俺でも『うんち』にはヒヤリとした。
ホッと胸を撫で下ろすと、山田の側に腰を下ろした美兎ちゃんの姿を静観する。
「えっと……。呼び方、だよね? ……うん、わかった。じゃあ、『先生』って呼ぶねっ!」
クルリと後ろを振り返った美兎ちゃんは、俺に向けて無邪気な笑顔を見せると、再びその視線を山田へと向けた。
(エッッ!!? まっ、まさかの、そっち採用!!!?)
「いやっ、あの……。『先生』だと、学校の先生と同じじゃん? だから、名前がいいかな〜? なんて……」
「名前?」
「……う、うん」
思ってもみなかったまさかの【降格宣言】に、山田のうんち処理中の美兎ちゃんの背中に向けて即座に軌道修正を始める。