君は愛しのバニーちゃん
※※※





「気持ちよかったぁ~。ありがとう、美兎ちゃん」


 マッサージという名の至福の時間(とき)を終えた俺は、美兎ちゃんの方へと向き直ると口を開いた。


「美兎ちゃんも……凝ってない? お返しに、マッサージしてあげるよ」


 そんな事を言いつつ、実際には美兎ちゃんに触れたいだけだったりする。平静を装うが、伸びきった鼻の下が本心を隠しきれていない。


(んー……。どこをマッサージしてあげようか。やっぱり、まずは肩か? それとも腕? いや、足も捨てがたいなぁ……)


 暴走し始める脳内に、俺の顔面はもはや崩壊寸前。このままでは『真面目な家庭教師』ではなく、ただの『ロリコン変態野郎』になってしまう。
 なんとか必死に堪えるが、膨らむ妄想と共に鼻の下は伸びる一方。


(そ、それともいきなり……胸とかっ!? ……いやいやっ! 流石にそれは、マズいだろっ! いや、でも……)


 一人脳内で妄想を膨らませながら、期待に満ちた瞳で美兎ちゃんを見つめる。


「ううん、大丈夫。ミト、どこも凝ってないから」

「…………」


(あ……そうですか。若いっていいね……)


 無邪気な笑顔を見せる美兎ちゃんを前に、敢なく撃沈しガックリと項垂れる。


「瑛斗先生。山田さんのお散歩に行こっ?」


 美兎ちゃんからのデートのお誘いに、項垂れていた顔を勢いよく上げるとパァーッと笑顔を咲かせる。


「そうだねっ! デー……っじゃなかった。お散歩に行こうか!」

「うんっ! 楽しみぃ~!」


(グハッ……! 眩しすぎる……っ!)


 天使のような笑顔を見せる美兎ちゃんに少しの罪悪感を覚えた俺は、ハァハァと息切れしながら動悸の激しい胸元を抑える。


(ヤバイ……っ。俺、死ぬかもしんねぇ……。そ、その前に……俺も美兎ちゃんのお口、ペロペロしたい……)


 俺の目の前で、美兎ちゃんの口を美味しそうにペロペロと舐めている仔犬。
 そのなんとも羨ましい光景を眺めながら、『山田さん』という珍妙な名前を授けられた仔犬に嫉妬の炎を燃やすのだった。


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