エリート副社長様の強引プロポーズなんてお断りします。
プロローグ
お見合い
「…お父さん、なんで着物?」
サークルから帰ると、お父さんと使用人さんが待っていてささっと着替えさせられた。
真新しい振袖を着れて嬉しいけど……理由を教えて欲しい。
「絢香には今日お見合いをしてもらいます」
「……え?」
「さあ、早く行くよ……約束の時間に遅れてしまう」
お父さん、まだお見合い了承してないっ! それになんで教えてくれなかったのさ……。
「……うん」
だけど、お父さんが切なそうな顔をするから……頷くしかなかった。
私は、和水絢香(わみず あやか)。大学3年生。
和水グループの社長は私の父・和水慶一(けいいち)で、私はその社長令嬢なのだ。
きっとこのお見合いは、政略結婚だ。会社のための結婚なのだ。
「相手は誰?」
「igarAshiの副社長、茉央(まひろ)さん。26才だよ」
「年、離れてるんだね……」
私は21才だから六個も離れてるじゃん。
「到着いたしました。」
「じゃあ行こう、絢香、粗相のないようにね」
「わかってます、お父様」
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