その瞳に映るのは

タイミング side 成瀬



「あの成瀬くん、今日は本当にありがとう。」



さっきまで楽しそうに笑ってた三島が玄関前で少し緊張した雰囲気になって礼を言った。



「俺も。久しぶりに三島の手作りチーズケーキ食えたから。やっぱり三島は菓子作るの上手いな。すごく美味しかった。ありがとな。」


俺も自然と言葉が出てきた。



「そ、そんな大した事じゃないよ。」


突然、パッと三島が俯向いて呟いた。

その姿は以前の三島と同じようでいて少し違った。



……もしかして…照れてる?



思わず無言でその姿を見つめる。

三島もそのまま無言だった。




『相思相愛』



頭に突然浮かんだ王子の言葉。

少なくとも今の俺の感覚では、嫌われてると思ってた頃の嫌な沈黙ではない。

しばらくこのまま無言でいても苦にならないような甘さを含んだような沈黙。



本当に?

三島は俺の事を……?


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