その瞳に映るのは

『そうしろ。それでさっさと本当の彼氏になれよ。じゃないと俺がしんどいんだよ。』


電話の向こうでため息が聞こえた。


「なんでだよ？」

『渡辺だよ。あいつ最近は俺にまで嫉妬してくるんだよ。もしかしてあいつ初恋が三島なのかもな？松田が言ってたけど、あいつがこんなに気にする女は三島が初めてなんじゃないかってさ。』


渡辺か…。

最近は渡辺にうるさく声をかけられることが無くなったけど、確かに俺を警戒してる素振りは感じていた。


でも誠にまで嫉妬するなんてよっぽど余裕が無いのか……。


王子が言ってたな。

渡辺の悔しがる顔が見たい、と。

渡辺が紗夏の男になる可能性を全く考えてもいない発言に勇気を貰った気がした。



…紗夏の事がなければ普通に気さくに話せる奴なのにな。