その瞳に映るのは





なんで電話したんだ?







以前に一度だけ三島に電話をかけた時の番号。



まだ繋がるのか?



そう考えていたら通話ボタンを押していた。




机を挟んだ正面にいる三島。

すぐに三島のスマホが鳴った。



その音が聞こえた瞬間に自分の衝動的行動に困惑した。

と同時にヤバいと思った。

知らない番号を不審がられて騒いだら渡辺が見て俺の番号だと気づかれる、と思った。



だから慌てて切ろうとした。


でも、スマホの画面は通話中になっていた。




……なんで!?!?




驚いたけどこっそり気付かないように三島を見た。



三島は下を向いてスマホを見たままだ。

肩にかかるくらいの柔らかそうなストレートの髪が垂れ下がり、俯向いている彼女の顔を絶妙に隠していた。



そのまま話すこともなく、12秒で通話は切れた。



………気付いてた?

俺の番号だと知ってたのか?




でもそのまま三島は何を言うこともなく普段と変わりなかった。


相変わらず俺に話かけることもない。


あの時間だったから単に同じ班の連絡先の確認だと思われたんだろうな。



電話が繋がったことよりも、いまだに俺と話をしたくないんだなという意思が見えて複雑な気持ちになった。


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