九羊の一毛



その日は朝から体調が優れず、ベットの上に寝転んでいた。

本棚から適当に文庫本を何冊か抜き取って、枕元に積む。
人より横になっている時間が多い分、自然と本の数は増えた。体の調子を抜いても、自分はあまりアウトドア派ではない。

喉の渇きを覚えて上体を起こした。
何とはなしに時刻を確認して、そろそろ授業が終わる頃だろうか、と見当をつける。


「……今日、木曜か」


木曜。感慨深くも何ともない、ただの平日。


『委員会はちゃんと出ろよ』


不意に岬の忠告が脳内にこだました。
委員会は確か――木曜、だ。


「あー……最悪」


何がって、何もかもが。
体調不良は正当な理由だし、別に罪悪感を覚える必要もない。

じゃあ自分は一体、何に後ろめたさを感じているのか。


『ちゃんと冷やさないと、せっかくのイケメンが台無しだよ』


彼女は、俺がいなかったらどんな顔をするんだろうか。
喜ぶ? 困る? それともどうでもいい? 落ち込む……は、流石にないか。

今までの委員会――といっても数回だが――は、何だかんだで毎回出席していた。今日が初めての欠席だ。


「……はあ」

< 14 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop