AIが決めた恋

小説が繋ぐ気持ち

「では、いってらっしゃ〜い!」

観覧車のスタッフをしている若い男の人が、そう言い、ドアを閉めた。一気にしんとした空気感が広がる。
『認めなければいけない。』
とは思ったものの、何をどうすれば良いのか分からない。そもそも、その場の雰囲気で湖川さんと乗ってしまったが、彼女は僕と一緒で良かったのだろうか。よく考えたら、観覧車は4人乗りだ。わざわざ2人組を3グループ作らなくても、男女で3人ずつに別れて乗っても良かったのだ。

「まさか、裕さんが桃野さんと乗りたいと思っていたとはね。」

何を話したら良いか分からなくて、取り敢えず当たり障りの無さそうな言葉を口にした。

「ごめんなさい。佐倉くんは、私より、お兄ちゃんと乗りたかったですよね。」

湖川さんが俯きながら言った。
当たり障りの無い言葉を口にしたつもりだったが、湖川さんを謝らせてしまった。

「そんなことないよ。裕さんと乗っても楽しかっただろうけど、僕は湖川さんと乗れて…嬉しい。」
「そんな嘘…。」
「嘘じゃないよ。」
「だって…!あの…、今日1日ずっと気になっていたのですが…、佐倉くんとお兄ちゃんと真島くんは、三角関係なんですよね…!」
「え!?」

さ、三角関係…とは、どういうことだろうか。

「夏休みが始まる直前、学校で噂話を聞いたのです。佐倉くんと真島くんは、恋人同士だと…!」
「こ、恋人!?」

僕と真島くんが恋人同士であるという、あまりにも強すぎるパワーワードに驚きを隠せず、僕は思わず立ち上がってしまった。
その時、鞄の中から、1冊の小説が転がり落ち、慌ててそれを拾い上げ、再び着席する。
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