AIが決めた恋
「ところで、藍は誰を選ぶつもりなんだ?」
「えっ?」
「裕か真島くんか佐倉くん、異性として誰が好きなんだ?」
「えっ…!」

い、異性として好き…だなんて…そんなこと。

「考えたこともなかったです。」
「え?」

真島くんはパートナーで、将来結婚するかもしれないけれど、異性として好きかどうかと聞かれると、簡単にYESと答えて良いのか考えてしまう。
佐倉くんは、確かに気になっているけれど…、恋愛対象かどうかと言われると、分からない。手を握られた時や、抱きしめられた時は、嫌じゃなかった…けど、それを好きというのかどうか、よく分からない。
お兄ちゃんは、好きだけど、それは従兄としてであるし…。

「オーラは見えても、その辺りは鈍感なんだね。」

曾祖母が、軽く溜息をついた。

「鈍感というか…、きっと私はもう、人を好きになることはできませんから。」
「そういえば、この前会った時も、そのようなことを言っていたね。あの時は心からそう思っている感じだったが、今も本当にそう思っているの?」
「それは…。」

分からない。中学生の頃は、人を好きになることが、人を信用することが、とても怖かった。でも、今は少しだけ違うかもしれない。
私は、またきっと人を信じることができる。そんな予感がしている。

「まあ、ゆっくりでいいさ。」

曾祖母は、そう言うと、私に背を向けた。

「ひいおばあさま…!もう行ってしまうのですか…?」
「ああ。今日はこの辺にしておくよ。また次の時に。」
「分かりました。」

私がそう言うと、曾祖母は薄らと笑みを浮かべた。
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