AIが決めた恋

ぎこちなさ

「藍!相性ランキング1位なんて凄いじゃん!おめでとう!!」

その日の放課後、帰りの会が終わり、帰る準備をしていると、隣のクラスから陽芽がやって来た。
教室には、もうほとんど生徒が残っていなかったが、教室でこの話をされるのは少し恥ずかしいから、私は陽芽を廊下へ連れて行った。

「おめでたいのかな。よく分からない。」
「おめでたいよ〜!いやー、実はさ、藍と広大くんのこと、ちょっと心配してたんだよね。」

そんなことは初耳だ。一緒に暮らしているから、色々な話をしているけれど、そのような話題は1度も出たことがなかった。

「藍も広大くんも、クールなところあるからさ〜。上手くコミュニケーション取れてるのかなって。」

コミュニケーションが取れているかどうかと聞かれたら、簡単にYESとは言えない気がする。
よく考えてみると、いや、よく考えなくても、半年間パートナーとして生活してきた割に、私達はお互いのことをまだあまりよく知らない。
因みに、これは私と真島くんの間での秘密だが、許嫁(いいなずけ)がいることも、私は長い間知らなかった。

「でも大丈夫そうだね!なんか2人、似たような感じだし、相性が良いって言われて、確かに納得!って感じ!」
「そうかな。」

少なくとも、陽芽と本田くんの方が仲が良さそうに見える。

「ま、取り敢えず、舞台頑張ってね!」
「うん…、それが1番心配なんだけどね。」
「えー、そうなの?」

今では考えられないが、小学生の頃までは、割と前に立つことが得意で、目立つのが好きな方だった。しかし、中学生の時に色々あってから、人前に立つのが苦手になった。皆に見られることが怖い。本番、足が震えてしまわないか心配だ。
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