AIが決めた恋

2人の少女

影石さんと靴箱まで行くと、突然彼女は立ち止まった。

「どうしたの?」
「あそこにいるのって…。」

彼女が前方に視線を向ける。視線の先を目で追うと、そこには湖川さんが立っていた。
どうして彼女がここにいるのだろう。
『彼女はきっと、ここへは来ない。』
先程の先生の言葉を思い出す。
もしかして、湖川さんは本当に自分の意思で、職員室へ向かうことをやめだのだろうか。

「藍ちゃん!!」

影石さんが、湖川さんの元へ走っていった。
藍ちゃん…?
やけに親しげだ。知り合いなのだろうか。それとも、初対面の相手に話しかける時、『さん』を付けるのは僕だけで、いきなりちゃん付けで呼ぶのが普通なのだろうか。
どちらにせよ、僕も彼女の元へ向かうことにした。

「藍ちゃん、久しぶりだね。」
「あれ?2人は知り合いだったの?」
「そうだよ。小さい頃からの幼馴染み。だよね?」
「え、えっと…。」

2人が幼馴染み。
本当に?
僕にはそのようには見えなかった。
湖川さんは、普段から大人しく、人付き合いが少ないタイプだけれど、桃野さんや陽芽さんと話す時は、それでも少し表情が明るい。
しかし、今、影石さんと話している彼女の表情は、他人に話しかけられた時にするような表情だ。
相手を警戒しているような、そんな表情だ。
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