AIが決めた恋
「湖川さんが保健室まで連れて行ってくれたんだよね?ありがとう。本番直前だったと、保健室の先生から聞いたよ。そんな大事な時に、ごめん。」

『いえ、謝らないでください。』
彼女は、彼女らしく、いつものようにそう答えるのかと思っていた。
しかし、彼女はしばらくの間、口を開かなかった。

「湖川さん…?」
「…ですか?」
「えっ?」
「覚えて、いないのですか…?」

『覚えてないない』と問いかける意味は何だろう。
もしかして、僕は何か重大なことをしでかしてしまったのだろうか。それとも、ただ普通に記憶が無かったのか尋ねているだけだろうか。

「ごめん。かなりお酒が回っていたみたいで、ほとんど記憶が無いんだ。僕は湖川さんに何かをしてしまったのかな?」
「佐倉くんが覚えていないのなら、それでいいです。」
「でも──」
「だって、私と佐倉くんは、ただのクラスメイトですから。」

突然のその言葉に、僕は驚きを隠せなくなる。
僕と湖川さんは、ただのクラスメイト…。自分の中でも、随分前からそう言い聞かせてきた。そんなこと、ずっと分かっていたはずなのに。
僕は、その言葉に、大きなショックを受けた。
きっと本当は、心の何処かで、クラスメイトから少し特別な意味を持った関係へと、確実に進めているのだと思っていたんだ。
でも、違った。湖川さんは、僕のことを、ただのクラスメイトだとしか感じていないのだ。
例え僕がどれほど彼女のことを想っていたとしても、その事実は、今後も永遠に変わらないのかもしれない。

「それだけです。では、さようなら。」

彼女はそう言うと、僕達のところから去っていった。
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