AIが決めた恋
見上げると、真島くんが立っていた。
何か言わなくてはならない。そう思ったが、上手く言葉が出てこない。
目の前にいる真島くんは、今まで見たことも無いくらい、真っ黒なオーラをしていた。

「どうした?」
「……何か、あったのですか……?」
「えっ?」
「いえ、なんでもないです。」
「そうか?」

私は無言で頷く。まさか、『オーラが真っ黒ですよ』などと言えるわけがない。

「もしかして、俺のことを待っていてくれたのか?」
「あ、えっと…。」
「ごめん。そんなわけないよな。でも、もし待っていてくれたのなら、待たせて悪かった。顔も知らない女子が、なかなか離れてくれなくて。」
「そうだったのですか。」

真島くんは以前、過去に起こった事件が大きな噂となってしまい、一度は人気が無くなったみたいだったが、皆、もうあの噂は気にしていないのだろうか。

「ファンが戻ってきて、良かったですね。」

心からそう思って言ったが、真島くんは、複雑そうな表情をした。

「あのままでも良かった気がする。」
「そうなのですか?」
「ああ。佐倉が言うには、文化祭の準備の際、俺が君を助けたことで、好感度が戻ったようなことを言っていたが。それでも、噂が広まっていた時の方が静かで良かった。」

なるほど。だから舞台の時に、真島くんのファンが復活していたのか。
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