AIが決めた恋

劣等生

次の週の木曜日、俺が約束通り、3階の自習室へと向かうと、既に水原は教壇の上に立ち、やる気満々だというような表情をしていた。

「来てくれてありがとう!」
「拒否権は無しだったからな。」
「それでもありがとう。真島くんは優しいんだね。」

水原が完璧な笑顔で微笑み、俺は内心で溜息をつく。
この人のこの態度と表情は、計算なのか、それとも、天然なのか…。

「真島くんは1年の頃から定期テストで学年1位を保持してるんだってね。」
「何で知ってるんだよ。」
「奏風ちゃんから聞いた!」

桃野…。
パートナーの親友だから、信頼はしているが、できれば俺のことは言いふらさないで欲しい。まあ、桃野は口が軽そうなタイプでないし、きっと、水原だから言ったのだろうと思うけれど。

「凄く教えがいがあるよ。」
「どうせやるなら、全力でやらせてもらうからな。」
「お、頼もしい。」

この世には、努力してできるようになることと、そうでないことがある。例えば、勉強は努力すればできるようになるが、何も付けずに海で息をするといったようなことは、努力しても不可能だ。
そして俺は、努力でできるようになることは、全て全力で取り組むと決めている。だから、今回の恋のイロハについて学ぶことも、気は進まなかったが、全力で取り組むことに変わりはない。
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