声を聞いて。 上
*陸 side*



朝起きて、髪をセットする
いつもより少し念入りに

だって今日は久しぶりに留奈と
遊びに行く


洋服選びも時間がかかる

この組み合わせ変じゃないかな?
何度も鏡で見て確認する



留奈は鈍感だから
俺の気持ちなんて気づいてないだろう

俺は小さい頃から
留奈のことが好きだ



留奈は誰に対しても
優しくて、いつも笑っている事が多い
しかも学校では
意外と留奈のことを好きな奴は多い


留奈は全く気づいてないみたいだけど


だから俺は焦っていた
留奈が誰かにとられるんではないかと



勇気を出して誘ったんだ
大事にしないと



時計を見るともうすぐ10時
鞄に留奈へのプレゼントを入れる

この日のためにアルバイトして
稼いだお金で
留奈が好きそうな髪留めを買った
喜んでくれるといいな




家を出てすぐ、留奈に電話する
隣通しだから
電話したら呼ぶと
家から留奈が出てきた。



「可愛い!」

学校とは違う雰囲気の
留奈の姿に心臓が早くなる

普段はサラサラの髪は
コテで巻かれており
触りたくなるようなゆるふわだ。


しかも普段しないメイクをしてるせいか
いつにもまして可愛い



今すぐ好きだって伝えたい
ただ今すぐに言うと留奈は
混乱してしまうだろう


俺は自分の気持ちをぐっとこらえた



まずは、最近笑顔がなかった留奈に
元気になってもらわないと

だから俺は留奈が大好きな場所へ
連れていこうと思った





水族館につくなり
留奈は嬉しそうだ

目がキラキラしており
笑顔が出てきた


留奈の笑顔が好きだ
笑顔を見て俺まで笑顔になる



しかも今日はそんな笑顔を俺だけが
独り占め出来る
俺は今年の運を全部使ったのではないか



帰り際、お土産やさんで
留奈が手に取ったストラップを見て
ピンときた俺は一緒に買うことを
提案する


留奈はすぐに賛成してくれた
やっぱり鈍感だな


色違いの紐のペンギンのキーホルダー
まるで恋人みたいで
俺は嬉しくてたまらなかった

ペンギンはパートナーがいないと
寂しくて死んでしまう生き物



だからペンギンのキーホルダーのように
いつまでも留奈といれるように
という願いを込めて
ペンギンのキーホルダーにしたのだ


いつか留奈はこの意味が
わかる時は来るのかな?
まだ遠いだろうなと思いながら
一緒に携帯につけた。

留奈とお揃いと言うだけだけど
俺は嬉しかった




お互いの家についた時
鞄から留奈のために用意したプレゼントを
留奈に渡す


どんな顔するか本当は見たかった
だけど
俺は恥ずかしくなり、
家に入ってから開けてと伝えた


気に入ってくれるといいな



そう思いながらお互い家に入っていった
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