御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
ずいぶん神妙な面持ちだ。思わず背筋を伸ばした私は、不安になりながらもうなずいた。

「どうしてそんなに美砂が一番なの」

え……?
予想外の質問に力が抜けた。

「それはもちろん、大切な姉、ですから」

「お姉さんを大切にするのは立派だ。でも俺は、沙穂ちゃんには同じくらい自分を大切にしてほしい」

自分を?

でも私は姉の手助けをするように昔から頼まれてきた。美砂は会社を継いでこれからたくさんの苦労をするのだし、彼女が軌道に乗るまでは、私が先に楽になってはいけない。

今までずっとそうやって生きてきた。

「透さん。私、別にいいんです。美砂の役に立つのが昔からの役目みたいなもので。今さらそれが嫌とかないですから」

「でも、世界が狭く感じるんだろう?」

あっ……。

思わず彼を見た。手紙に記した私の気持ちを覚えているんだ。
ズバリ突かれ、うつむいた。
姉より外側の世界にはいけない、私がそれを窮屈に感じているという事実は、透さんにしか明かしていない。
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