御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「どうぞ」

部屋へ案内され、玄関に一歩足を踏み入れた。磨かれたお仕事の靴が並ぶ玄関から数メートルの白い廊下を進むと、ブラウンの木目と黒の家具を基調とした広いリビングがすぐにある。

荷物を置いて、2LDKだという部屋の中を案内された。

リビングの扉の向こうにはキッチン、さらに廊下があって大理石のトイレやお風呂、つきあたりには両サイドに寝室と書斎がある。

「沙穂ちゃんはどこで寝たい?」

私は「へっ」と驚きの声がもれる。

「全然使ってないから、書斎を潰して沙穂ちゃんの部屋にできるよ。ベッドやクローゼットをすぐに取り寄せてもいい」

書斎の扉を開きながらそう紹介した後、透さんは次に向かいの寝室の扉を開けた。

「それか、見て分かるとおり、ベッドもクローゼットもひとりでは余るほど大きいんだ。一緒に使う?」

えっ……ど、どうなんだろう。分からない。普通はどうするものなの?
私は「えっとえっと」としどろもどろになりながら、書斎と寝室を見比べた。
透さんの書斎をつぶしてベッドを入れるなんて、迷惑だよね。

「い、一緒で大丈夫です。ベッドもクローゼットも。透さんの場所が狭くなってしまいますが」
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