夜空に見るは灰色の瞳
「なるほど、ウサギ……」


それを聞いてふむふむと意味深に頷いた三永ちゃんは、やや間を空けてから


「その知り合いとはズバリ、男ですね!」


なぜか得意げにそう言い放った。ピッと右手の人差し指まで立てていた。


「……えっと、何でそうなるの?」


問い返しながら、そういえば三永ちゃんは最近、ミステリー作家が原作を書いているという探偵物の漫画にハマっていたことを思い出す。

ジャンルで言えば一応少女漫画であるそうだが、恋愛よりもミステリーに重きを置いている作品らしく、とても読みごたえがあるとか言っていたような……。
まさかとは思うが、三永ちゃんは現在その漫画に多大なる影響を受けているのだろうか。


「叶井さんは先ほど、“知り合いが飼っているウサギ”と説明する時、妙にぎこちなかったうえ、その前には微妙な間もありました。それはつまり、その知り合いはただの知り合いではなく、わたしにはすらりと説明出来ないような関係の方であることを表していますから、もう男意外にないでしょう!」

「……いや、それは流石に無理やり過ぎるんじゃ」
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