酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
それから、色んな仕事が入って、忙しくなった。

やっぱり、佐伯さんを隅に置いておくわけにはいかないんだ。

基本は声優重視だけど、少しずつ番組に呼ばれたり、俳優っぽいこともやってみたり。

なんだか、すごい監督が何人も、佐伯さん主役でドラマや映画を作りたいとも言ってきたりしてる。

...れ、恋愛ものか...。

確かに、佐伯さんを恋愛ドラマのイケメンに据えたらやばいことになるよね...。

視聴率とか売り上げどころの話じゃなくなっちゃうくらい...。

それで...。


「この期に及んで佐伯はまだ人外説出てるんだな。

もう結構テレビ出てんのに。」

御園ユウトとこうやって楽屋で話すのも久しぶりかも。

「だって、イケメンで歌もダンスも演技もなんでもできるんですよ?」

「そうだな。
なんか最先端技術の結晶じゃねえかと思うかも。
んで、佐伯はどこだよ?」

「マカとスタジオで収録してます。」

「ふーん。あの女も佐伯使いが荒いよな。
まあ、あいつに限った話じゃないか。」

「事務所総出で売り出してますね。
前までの扱いが嘘みたいです。」

「俺は今だいぶ落ち着いたほうだけど。

そんで、あいつ役者もやるわけ?」

「まあ、少しずつですけど。」

「マジか...。
下手なやつには出て欲しくねえわ。」

「大丈夫ですよ。
下手なやつも、下手なやつじゃなくなっちゃうんで。」

「まあな。」

「アニメの実写化の話出たんですよ。
アニメでも佐伯さんが主役なんで、実写化でも主役やってほしいって。」

「別の意味でやめたほうがいいと思う。
俺の場合はイメージ違う、クオリティが追いついてないっていうので叩かれたけど、

あいつの場合はイメージ良すぎるし、クオリティ高すぎて逆に叩かれるぞ。」

「そうですよね。実写化って、なんでこんな感じになっちゃったんだろう。もっとマシにできなかったの??っていう反発感情も策略だったりするんで。

本当にクオリティ高すぎる実写化ってもう、もはやドラマですよ。」

「まあいいんじゃねえの?
ドラマだから。」

「こうなったら他のキャストも徹底したいですよね。」

「俺が出てやろうか?主役じゃなくても佐伯となら喜んでやるぞ。」

「そうですねー。カメレオン役とかいいんじゃないですかー?」

「カメレオン...?
せめて人間役にしろよ。」

「あ、間違えました。
カメレオン遣い役です。
一応二枚目扱いじゃないですか。」

「あれってほんとにカメレオン遣いっていう名前でしかないんだろ。
正式名称ある役がいいわ。」

「じゃあ...プリンちゃんでいいんじゃないですか?」

「何その女みたいな名前。」

「めっちゃいい役ですよ。
男の子ですし。」

「プリンちゃんなのに?」

「そうです。カッコイイですよ、プリンちゃん。
アニメ見てないんですか?」

「まだ一期中盤までしか見てないから知らない。」

「まだまだですね。」

「オタク自慢腹立つ。」

「それほどでも。」

「褒めてねえし。」




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