酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
...なんだか。

上の人たちに片っ端からあたってるけど。

私の担当じゃないから、みたいなのが多すぎて。

一体誰の担当なんですかね。

そんなんで、もう勢いあまってじゃないけど、社長に直接問い合わせることに。

話があるからと電話すると、応接室に来れば話をきくと言われた。

「失礼します。」

と、入ると、応接室に通されたので、先客がいる。

見ると、若い男の人だ。

というか、見た目だと中学生くらいに見えるんだけど。

「突然申し訳ありません。
私、佐伯雅のマネージャーの雛形まつりと申します。」

と言うと、男の人は向かいに座っていた社長を凝視する。

どういうことか説明しろといった顔だ。

「せっかく君が来たんでね。
彼女と話をしてみてくれないか。」

「なぜ僕が?」

「当事者で話し合ったほうが早いんじゃないかと思って。」

「僕の仕事じゃありませんよ。
下の人間と話す余力はありません。」

下の人間って...。

「だそうだよ。残念だね。
彼は独占プロデュースの方針を曲げないようだ。」

「当たり前でしょう?
第一、僕はあの若輩者に佐伯くんを任せた覚えはありませんよ。くれぐれも厳重に彼を管理しろと言ったでしょう?

それが、規約を破って、メディアへ勝手に露出。僕はがっかりですよ。

今度こそ、彼を引き渡してもらいます。
さもなければ、こちらでわざわざ起こした司法手続に対する合意どころか、保留案件まで全て撤回して対立に踏み切りますからね。

そうすればこの事務所も経営どころじゃなくなるでしょう?」

な、なんなのこの人...。

というか...。

「あの...大室達哉さんですか...?」

「...なんなんでしょうか。
この失礼な人は。」

「え...す、すみません...。」

「社長。この方をどうぞ下がらせてください。」

「ま、待ってください!
私は佐伯さんのマネージャーです!
佐伯さんの意向を伝えにきたんです。」

「彼の意向など確認不要です。
最初からこちらとの了承を得て契約しているようなものですから。
契約書に目を通しました?」

「いいえ。
私は拝読させていただいてません。」

「...そういえば、君は一体何者なんですか?
彼のマネージャーに関しては人事であらかじめ決めていたはずでは?その方と違うような。」

「え、えっと...?」

そんなこと言われても、私も困るんだけど。

「これはこれは失礼。
亜笠くんは不都合があって、急に穴が空いてしまったんだよ。彼女はそれで雇った。
臨時に、一時的な補填としてね。」

「それならば、彼女を即座に解雇し、代わりを探してください。」

「そんな!
私は臨時とか、一時的な雇用なんて聞いてません!」

「だからそういうクレームは僕の仕事じゃないって言いましたよね?」

「僕の仕事でもないよ。
社長はそんな細かいことにいちいち関わっていられないからね。」

うそ...!!

なにそれ...、

なにそれ!!!
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