酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
今夜も佐伯さんの家でお世話になることに。

一応はこそこそ動いてるんだけど、周りにバレたら大変だから注意しなきゃ。

佐伯さん、最近の人気が凄まじいし。

声優、俳優、歌手、全部の名だたる賞を総なめしてるらしい。

すごいな...。

私はやっと深夜の番組に呼んでもらえたぐらい。

カナエは女優で人気だし、御橋さんも歌がすごく上手いからな...。

私よりずっと先にいる。

でも。

「まつりのファン、多いそうだよ。」

って佐伯さんは言ってる。

「それに俺も、もちろんまつりのファンだよ。」

なんて。

ちょっと前までの自分の立場って...。

私が佐伯さんのファンだっただけなのに。

そりゃあ...CDとかグッズとか送ってはいるけど、なんか改めてそう言われると恥ずかしくて。

「私...佐伯さんにもっと近づけるでしょうか。」

「俺に?」

「はい。あの、私は今幸せですから、今のままで悪いわけではないんですけど...。」

常にそうやって上を向いていなくちゃって。

少しでも自分を磨かなきゃ。

幸せが遠ざかる気がして...。

「まつりがそう思うなら、良いと思うよ。」

「はい。」

「応援してるし、絶対ひとりにしないから。困ったことがあったらなんでも言ってね。
嬉しいことや楽しいことも良ければぜひ。」

「はい。
そういえば、面白い話がありますよー。

いつも佐伯さんにくっついてた俳優さんが私と一緒に活動してるメンバーの子を弟子にしたんだそうです。」

「前に共演した子?」

「はい。カナエは女優もやってるので、演技を教えてもらいながら良い関係値を築きたいんだそうです。」

「なるほど。
じゃあ、俺もまつりに何か教えてもらおうかな?」

「いやいや。
むしろ私が教えてもらう側ですよ。
声優や俳優のお仕事について私も興味あります。」

「まつりは勉強熱心だね。俺も見習わなきゃ。」

「そんな。
でも、私も佐伯さんに弟子入りしたいくらいですよ?」

「それで少しでも近くにいれるならいいな。
そんな大層なことは教えられないけどね。」

「構いません。私もずっと側にいたいですから。」

「ありがとう。じゃあ、今夜はぜったい
いい夢みさせてあげるね。」

ぎゅ。
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