酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「まつりちゃん...?
あなた学校で何を学んでいるの?」

答案用紙をみて、奇妙な微笑みをする母。

「いや...えっと、クラスで集団行動とか...?」

「今のフリーなご時世には必要ないわ。
...学校、やめる?」

「え...?
なんでそういう極端な話に...?」

「だって、音楽以外はみんな赤点じゃない。
数学に関しては3点ってなに?
こんな恥をさらすくらいなら、いっそのこと別の道も考えるべきね。」

「別の道って...?」

「ほら。あなたアニメやドラマとか好きだし、芸能にも興味あるのよね?」

「まあ、そうだけど...。」

「実は、知人に芸能事務所を運営してる方がいるのよ。私の“元彼”の友だちなの。」

「そ、そうですか...。」

元彼っていうのは、まあ、私にとっては血縁者というか、父親...。

いや、そんなこと言ったら母さまの雷がまた落ちる...。

まあ、養育費とか、財産の面ではすんなり合意してるみたいだし、完全に離れたわけじゃないっていうのがなんかややこしいところなんだけど。

実際は、付き合って別れての繰り返しだ。

大人ってよく分からない。

「その知人にまつりのこと紹介したのよ。
そしたら、使えそうだって。」

「なにに...?」

「芸能界の修羅場を戦う勇者よ。ほら、外見は悪くないじゃない?
母さんの子だもの。」

「いや、よく分からん理屈...。」

「あらそう?」

「うーん...。」

「まあ、元彼の若い頃にも似てるところが惜しいけど。そのぱっちりした目とか、目鼻立ちがくっきりして、うっすら頬と唇が色づいていて、顔が小さくて、あざとい感じでスタイルもまあ悪くないなんて...。」

「...?」

「そんな外見に関してはほぼ父さん似のあなたは、芸能界に入れば中の下ぐらいの存在になるのよ。まだ学校内で底辺の存在なしてるよりいいじゃない。」

元彼呼称がもう破綻してるから、そろそろまたやり直すのかなぁ...。
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