こんぺいとうびより
───今、触れた?これに、あれが!?

柔らかいものが離れると、自分の唇に手を当て一直の唇を凝視してしまう。すっかりパニックだ。

「ちちちち、ちょっと待って!!」

「・・・待てない。時間が惜しいんだ。」

一直の胸を押して体を離したのに、再びグッと抱きしめられてしまう。彼の顔から目を逸らして靴箱に視線を移し、なんとか頭の中を整理しようとするものの、めちゃくちゃにとっ散らかってしまっていて、とてもじゃないがすっきりしそうにない。

「え、ええーとつまり、新貝さんがあたしの彼女で、あたしが新貝さんの彼氏で・・・。」

「いや逆だから。」

「おおお落ち着いてくださいよおお!」

「落ち着いてないのはそっちでしょ。」

「落ち着けるわけないじゃないですか!何が何だか・・・。」

「わかった。おとなしくなるまでその口塞いでやる。」

「え?どういう?」

「これで理解して。」

一直は壁に両手をつくと先程より深く口づけた。
< 59 / 189 >

この作品をシェア

pagetop