君の笑顔
教室から学食までの道程、何も喋らずに歩いた。

松田は私とペースを合わせてくれた。

痛みで歩き方がおかしい。

早く歩けない。

私は何も言わなかったけど、すぐにそれを察知してくれた。


いつもなら5分の道程が、今日は15分かかった。

学食の入り口から近い席を取るために、松田は学食に入るなり走っていった。

席が取れたのか、カバンを置いてきたみたいで、何も持たずにまた私のところに戻ってきた。

「すぐそこの席が空いてたよ。今、カバン置いてきたから。行こう」

松田の肩につかまって歩いた。


「松田、ありがとう…」

「ん?なんか言った?」

「ううん、なんでもないよ!!」


ありがとうだけじゃ物足りないよ、その優しさは…
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