二人の距離~やさしい愛にふれて~
父親というもの
翌日、恭吾は二日酔いで痛む頭を抱えて大学に行く。

「よぉ、お前理花の所行ってきたんだろ?どうだった?」

大学内のカフェのテラス席に座っていると由彰に声をかけられる。恭吾の向かいに座った由彰はニコニコと顔を覗き込んでくる。

「あぁ、なんか俺には今まで通りっつーか、話すし笑うし…。でも家族にはあんま反応しねぇっていうか、あんな事やってたから後ろめたいって…。思ったよりまともだったよ。」

「へぇ、良かったじゃん。そもそも初めがまともじゃなかったからな。ゲーセンで会った時は別人かと思ったし。まぁ時間はかかるよな…。」

「俺さ、このまま理花と関わってていいのかな?」

「どうだろうな、でも医者がついてるんだろ?ダメならダメっていわれるだろ。」

「そうなんだけどさ。俺が行って何かいい方向に進むのかなって。」

「お前らしくないよな。そんなに悩んだってなるようにしかならないだろ?ただ途中でやっぱりやめたってなるくらいなら初めから関わらない方がいいからな。お前が責任を負うことでもないんだし、あっちは医者も家族もついてるんだ。」

「ははっ、ヨシがまともな事言ってるの貴重だな。…まぁ、ありがと?」

「なんだよそのお礼。」

二人は照れを隠すように笑った。

「あっ、そうだ、これお土産。」

「おぉ!さんきゅ~!ってこれなに?」

「明太子味のせんべい。ビールに合うらしいぞ。理花の兄ちゃんの陽斗さんのおすすめ。」

「へぇ~、さっそく今日食べる。恭吾はバイト?」
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