二人の距離~やさしい愛にふれて~
外出許可
週末、恭吾は理花の病室に来ていた。
もう九州に来るのは4回目、実家にも理花の両親、陽斗にもすっかり馴れていた。

「最近調子いいんだって?今度俺が来るときにでも外泊許可だそうかなって草野先生言ってたよ。」

「えっ?本当に?やったぁ。最近はいつものお薬だけで不安な時とか興奮した時のお薬は使わないことが多くなったの。」

「やるじゃん。でも無理するなよ。今日はもし気分が良かったら病院の外に行ってもいいらしいけど、どうする?」

「うーん、じゃあ図書館にいきたいな。本借りたりできないかな?返しに行ける保証がないからだめかな?」

「もし行けなかったら返すのはママが行ってもいいんじゃない?」

横にいてふたりの会話を聞いていた恵子がそう提案すると理花も笑顔になる。
恭吾が初めて病院に来て以来、少しずつだが恵子と会話をするようになった理花は笑顔も見せるようになっていた。

「じゃあ、草野先生に聞いてくる。」

理花はいつもよりテンションが高く喜んでナースステーションへ駆けて行く。
ナースステーションの看護師もそんな理花の姿に驚いていた。

「はははっ、理花さんは芹沢君に会えてご機嫌だね。」

「あっ、先生、私外に出ていいの?」

「ははっ、芹沢君から聞いたんだ?そんなうれしそうな顔初めて見たよ。どこまで行くの?」

「図書館、いい?バス乗らないと行けないけど?」
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