二人の距離~やさしい愛にふれて~
二人の夜
もともとその部屋は真の部屋だったが最近ではほぼ恭吾が一人で使っている。

「先にシャワー行って来いよ。服は母さんのを置いてくれてるから。」

「…うん。」

「それとも一緒に入る?」

したり顔で言う恭吾の言葉に一気に顔が熱くなる。

「一人でいい。」

部屋に二人きりなって急に緊張してきた理花は俯いたまま逃げるようにバスルームに行く。
その後ろ姿を見て恭吾は笑っていた。

恭吾は理花がお風呂に入ってる間に心配してるだろう陽斗に連絡する。

『理花はとりあえずうちに連れてきてます。うちの親に会って緊張してましたが今の所楽しそうにしてます。明日、責任もって理花を連れて行きますんで。』

メールを送るとすぐに『ありがとう、よろしく頼みます。』と返信があった。
恭吾はスマホをローテーブルに置くと、ソファへ倒れるように座った。

「はぁ~、どうするかな…」

陽斗から聞いた言葉を思い出し、これから理花とどうしていくのがいいのか迷っていた。
『恭ちゃんと一緒にいると当時のことばかり思い出して自分が嫌になる。』と言っていた理花の言葉は本心だと思う。
そんな自分が理花のそばにこれからもいたいと望んでいいのか、やはり離れるべきなのか、ぐるぐると一人で考えていても答えは出なかった。

恭吾が考え込んでいるうちに理花はバスルームから出てくる。

「早かったな。」
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