二人の距離~やさしい愛にふれて~
「申し訳ありませんが関わりがあった方は疑わなければならないので…しかしこちらも闇雲に疑ってるわけではありません。便利な世の中で、犯行時刻に芹沢恭吾さんがどこにいたかはもうすぐ明らかになります。ですので明日、いろいろ質問させていただくのは形式的なものであって本当に罪を押し付けるためのものではありません。ご理解とご協力を宜しくお願いします。」

そう言うと渡部は軽く頭を下げ、理花のいる病室の方へ歩いて行った。

「恭吾、ちゃんとカルテ見たりした訳じゃないけど集中治療室勤務の看護師に聞いたら理花さんは順調に回復してるみたいよ。会話も少しならできるって…」

「俺…あいつのこと救ってやりたかったんだ…何も出来ないけどそばにいたら笑うようになったし、たまに怒ったり、泣いたり…」

「うん、うん、恭吾のパパもね私を救ってくれたのよ。ずっとそばに居てくれたの。パパみたいに優しい人に育ってくれて母さんは嬉しいし、そんな恭吾を誇りに思うよ。」

茉莉はさらに力強く恭吾を抱きしめた。

「でも結局俺は理花を救えなかったんだ…あいつの異常な行動を止めることは出来なかったんだ…」

「それはもしかすると専門家の助けが必要だったのかもしれないよ。これからは特に…でもご両親もついててくれそうだし今回の事件の事を乗り越えて良い方向に向かってくれるといいね。」

死にたがったり、怖がったり、たまに淋しいと甘えたり、そんな理花を思い出し恭吾は胸が痛んだ。
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