冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
私を思っての言葉とは感じずに、夫婦の間に愛を持ち込むなという話かと思っていたから……。

「じゃあ……宗鷹さんは、政略結婚に愛はいらないなんて、思っていないんですか?」

「今は、な。こんな俺でも許されるならば……君からの愛が欲しい」

彼が私を心の奥底から欲しているとわかる声に、心の奥底にある淡く色づいていた蕾を直接撫で上げられ、解けるように花弁が綻ぶ。
その花は、切なく苦しいくらいに愛を渇望していた。

いつの間にか目尻にたまっていた涙が、あふれる。

彼のことがが愛おしくて、愛おしくてたまらない。

「それなら……もう、とっくにあります」

私は彼に向かって両腕を広げる。
婚姻届にサインをしたあの日から、私の心はあなたに惹かれ……こっそりと胸の奥底で愛を育んでいたのだから。

「……愛しています、宗鷹さん」

微笑みを浮かべて告げた瞬間、彼はくしゃりと顔を歪め、今にも泣き出してしまいそうな顔をする。

「ありがとう、澪。……俺も、君を愛している」

彼は私の告白を噛み締めたあと、そっと甘いキスをした。
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