続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「奈津美……何でそう悪い方にしか考えられないのよ。旬君はそんなことないでしょ。ちょっと前に旬君がバイトしてるカフェ行った時だって、女子高生に見向きもしなかったじゃない」


 確かにそうだった。

 あの時、旬は女子高生にしつこくメールアドレスの交換を迫られていたけれど、一切ふらつくこともなく、彼女がいるから、と断っていた。


 そんな旬のことを、信じていないとかではない。

 ただ、あの時は、女子高生達が旬の好みじゃなかっただけで(といったら女子高生達に失礼かもしれないけれど)もし、旬にとって魅力的だったならば、どうだったか分からないのではないか。

 奈津美はそう思うのだ。


 旬はまだ若いのだし、フラリと気持ちが変わってもおかしくない。

 元々、旬は奈津美とだって、お互いによく知らない状態で、勢いのように告白してきたのだ。だから、同じようなことがあるかもしれない。


 そして、その時は、奈津美が旬に捨てられてしまう。


 情けないけれど、それを考えるだけで泣けてしまいそうだ。


 多少太ったぐらいで大げさだと思われるかもしれないが、奈津美は必死なのだ。


「ていうかさあ、ダイエットするのは勝手だけど、簡単に痩せられないわよ。成果出るのなんて一カ月は先よ?」

 分かってる? とカオルは言った。


「分かってるわよ」

 奈津美は口を尖らせながら答えた。


「じゃあ、その間ずっと旬君はお触りなし?」


「お触りって……」


「そっちの方がヤバいんじゃないのー? 旬君、奈津美がかまってくれないから欲求不満になって、他の女のところにふらーっと行っちゃうかもよ? それこそ、こないだの女子高生とかさぁ」


「え……」


 奈津美の頭に、嫌なイメージが浮かぶ。

 この間の女子高生が旬の腕に絡みつき、その旬は、嫌がる素振りも見せずに、むしろ楽しそうな笑顔を見せている。

 有り得ない話ではない。


「だっ……大丈夫よ! 徐々に拒否しないようにするから!」

 流石に不安になって、奈津美はそう言った。


「……拒否するしないの問題じゃないでしょ」


 それは奈津美にも分かっている。




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