続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「旬……」

 涙声で、奈津美は旬の名を呼んだ。


「ん?」


「旬……好き……大好き……」

 泣きながら、訴えるように奈津美は言った。


 旬はこれに目を丸くしていた。


 いつも、言って欲しくても、恥ずかしがって言ってくれない言葉を、いとも簡単に言ってくれた。嬉しいが、少し戸惑ってしまう。


「……ナツってば……ほんと可愛いんだからな」

 旬の顔が自然と緩んだ。


「俺も超好きだよ、ナツのこと」

 奈津美の髪を撫でながら額にキスをした。



 奈津美がひとしきり泣いて、落ち着くと、旬は奈津美の上から隣に移動する。


 奈津美はそれを追いかけるように、旬の方を向いてまた旬の体にしがみついた。


 いつもはしないあからさまな甘えの行動に、旬はまた少し驚くが、また自然に顔が綻んでしまう。


「ナツ、もう寝る?」

 そっと背中を撫でながら旬は尋ねる。


「うん……旬」

 奈津美は顔を上に上げて旬を見た。


「ん?」


「ぎゅって、して?」


 一瞬何を言ったのか分からず、旬はきょとんとするが、すぐに笑った。


「何で笑うの」

 奈津美は不機嫌な声になって言った。


「いや、だってさ。あまりにも真剣な顔でいうから、なにかと思って」

 笑いながらそう言うと、奈津美は拗ねたように口をへの字にして下を向いた。


「はい、ぎゅ〜」

 拗ねた奈津美を、旬は力強く抱き締めた。


 奈津美は、少し間をあけてから、旬の胸に頬を寄せて、旬を抱き締める腕に力を入れた。


「朝まで、このままでいてね?」


「うん。起きてもずっとこのままでいるよ」


「……それは困る」


「えー、何でー?」


「だって、明日も仕事だもん。離してくれなかったら動けない」

 急に現実的になった奈津美に、今度は旬が唇を尖らせる。


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