続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 加奈は、そうやって楽しげに話す三人の間に入っていけなかった。


 別に、入りづらいわけではない。笑いながら会話に入れば、自然にできる。


 でも、入れない。


 涼介が、楽しそうに奈津美に話しかけるところを見ながら、自然でいられる自信なんてない。

 涼介……何で他の人とそんなに楽しそうに話すのよ……


 その時、奈津美の視線が加奈の方を向いた。


 とても楽しそうにしている奈津美を見て、加奈は無性に腹が立った。

 そして、奈津美に自分でも分かるぐらいの鋭い視線を向けてしまった。それですぐに視線を外す。


 こんなことしちゃダメだって分かってる。でも、嫌だった。


 涼介が容易く他の人に取られてしまうみたいで……





「ごめん……」


 加奈は、高二の秋に、旬に振られた。


「俺、加奈のことはダチとしては好きだけど……加奈のこと、そういう意識してなかったっていうか……」


 理由は簡単なことだった。


 旬は、加奈のことを異性として見てなかった。それだけだった。


「でも、加奈のことはすっげー大事なダチだって思ってる! それはマジだから……」

 旬は必死に言葉を繕って、加奈のことを少しでも多く傷つけないようにしていた。


「……いいよ」

 加奈は、それがたまらなくて旬の口を止めた。


「何となく、分かってたから。あたしこそごめんね。変なこと言って……でも、ありがとう。すっきりしたから」

 そう言いながら、加奈は笑っているつもりだった。


 でも、笑えてないのか、目の前の旬の顔は、どんどん歪んでいく。


「加奈……」


「じゃあね、旬。また明日!」

 旬が何かを言う前に、加奈は旬に手を振って、その場から逃げた。


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